「ネイチャー・ボーイ」は、カリフォルニアの自然主義者で作曲家のイーデン・アベ(eden ahbez)が書き、1948年にナット・キング・コールの歌唱で大ヒットした楽曲である。アベは長髪に髭、生の果物と野菜だけを食べるという「ネイチャー・ボーイズ」と呼ばれるグループの一員で、まさにヒッピー文化の先駆者であった。
Dマイナーを基調とする32小節の形式で、一般的なAABAとは異なり明確なブリッジを持たない独自の構成が特徴。メロディはAナチュラル・マイナー・スケールをほぼ全面的に使用し、一部でクロマティックなライン・クリシェ(A-G#-G-F#)が印象的な色彩を添える。ハーモニーは比較的シンプルだが、マイナー・キーの持つ神秘的で瞑想的な雰囲気が曲全体を包み、「愛し愛されることこそ最も偉大なこと」という歌詞のメッセージと見事に調和している。
ナット・キング・コールの1948年のオリジナル録音はBillboardチャートで8週間1位を記録した歴史的名演である。ジャズの器楽演奏では、ジョン・コルトレーンのアルバムThe John Coltrane Quartet Plays(1965年)収録のバージョンや、マイルス・デイヴィスの録音も高く評価されている。